設立記念講演会



 



 スーパーコンポジット研究会設立記念講演会
2006年7月15日 
東京工業大学で開催されました。

会員,会員外合わせて多数の参加がありました。ご参加ありがとうございます。



当日は,次のプログラムで開催されました。

基調講演 1. 「ポリマーコンポジットの現状とスーパーコンポジットの展望」 
由井 浩(スーパーコンポジット研究会理事長,早稲田大学客員教授)

特別講演   「生物の形・材料・時間」  本川 達雄氏(東京工業大学教授)

基調講演 2. 「ポリマーナノコンポジットへの展開―私の最近の研究―」
住田雅夫(スーパーコンポジット研究会副理事長,東京工業大学教授)

 報  告   「NPO法人 スーパーコンポジット研究会の設立と今後の活動」
瀬野 武(スーパーコンポジット研究会事務局長


当日の内容の一部をご紹介します

基調講演1 『ポリマーコンポジットの現状とスーパーコンポジットの展望』 由井 浩理事長

 最初にスーパーコンポジット研究会設立までの経緯を紹介。スーパーコンポジットについての概略と,これまで携わってきた仕事の中で,どのようにして自然界の材料から学ぶことの重要性を考えるに至ったかが紹介されました。由井理事長は1996年までは企業の研究者でしたが,1998年から早稲田大学に移り,そこで自然界の材料に学んだポリマーコンポジットの研究プロジェクトに取り組みました。その一つが水を含んだコンポジット材料で,本日の特別講演でお話しいただく,本川達雄先生の論文が参考になったといいます。
 自然界に学ぶ材料といえば,人工木材,生分解性プラスチックなど,すでにいろいろなところで取り上げられています。とはいえ,自然界に学ぶということは奥が深く,いきなり現実的な製品化の話とはなりにくいところがあり,『スーパーコンポジット』と名づけ,じっくりと取り組んでいく必要があります。このために,スーパーコンポジット研究会のような従来の枠にとらわれない新しい組織が必要で,会員の方々とともに育てていきたいし,ぜひ多くの方がスーパーコンポジット研究会に参加されることを望んでいます,


特別講演 生物の形・材料・時間 本川 達雄氏(東京工業大学 生命理工学科)



 本川先生は,1993年に発行した『ゾウの時間・ネズミの時間』の著書でよく知られています。この書はベストセラーになりましたが,現在は54版を数えるロングセラーとなっています。また,歌う生物学者としても知られており,CDも出しておられます。
 先生の講演は,生物がどのような材料からできており,どのような形をしているか,そしてどのような時間を生きているのかについて,歌を交えて話され(きれいなテノールの声が会場に!),そこから,人工物がこれから目指す方向を考えてみたいというテーマがあり,多岐にわたるものでしたが,ここではその一部を紹介することににします。
 まず,見せられたのが,先生が沖縄の海でナマコをつかんでいるビデオでした。このナマコは,揉んでいるうちにぐにゃぐにゃに軟らかくなり,さらに揉むと腸が溶け出してドロドロになりますこれでナマコは死んでしまうかというとそうではなく,10日もすると元のナマコに戻ってしまうという。 ナマコを輪切りにしてみると,周りは皮で中に水が詰まっています。皮の内側には筋肉がついています。触ると硬くなるのは身を守り,姿勢を保つためですが,皮自体が硬くなるのにはエネルギーをあまり消費しません。硬くなったり溶けたりをこのような短時間で行うのには,何か特殊な構造が効いているはずです。
 いずれにせよ,これぐらい華やかに溶けたり硬くなったりするのはまさにスーパーコンポジットではないでしょうか。ナマコの皮でバンパーを作れば,ぶつかったらさっと溶けてしまい?----,ということになります。
・生物は水っぽい では生物は何でできているのか。その6〜7割は水です。ナマコは90%が水,クラゲに至っては95%が水ですから,陸に上げると形が崩れてしまいます。生物は水の入れ物といってよい。人間も生まれたばかりの赤ちゃんでは80%が水ですが,段々水分量が減ってきます。生物は40億年前,原始の海の中で,つまり水の中で生まれました。油の膜で水を包みこみ,外の世界と分けることから始まっており,それが細胞です。それが水の中で進化してきたのですが,なぜ水の中なのか,というのは材料を考えるポイントとなりそうです。これに対して,人工物は乾いています。水があったら,金属なら錆びるし,有機物ならカビが生えると,水は厄介者なのです。作るときも高温高圧を必要とし,できたものは安定で反応が不活発な状態でなければなりません。できるだけ長持ちはするのですが,いらなくなっても壊れないことが今大きな問題になっています。生物―自然界の材料と,人工物の間には,このような大きな違いがあります。
 といいながら,本川先生はマイクを取りだしました。実は,先生は「歌う生物学者」としても知られており,生物学をテーマにした歌をいくつか発表しています。なお,先生の歌はCDにもなっています。また,ホームページから何曲か聴くこともできます。
 この後,生物の形,生物の時間と,次々に興味深い話題が紹介されました。人に優しい技術,環境調和型など,材料・技術の開発は大きな転機に立っており,スーパーコンポジット研究会の自然界に学ぶ材料もその流れのなかにあるのですが,自然界に学ぶということは,実に奥の深いものであることをあらためて思い起こさせる講演でした。
先生の歌は,下記のホームページで聞くことができます。
http://www.motokawa.bio.titech.ac.jp/song.html

<基調講演2> ポリマーナノコンポジットの展開―私の最近の研究
住田 雅夫副理事長(東京工業大学)


 スーパーコンポジットのスーパーには,これまでにない機能 という意味が当然のことながら含まれます。高分子材料と,各種のフィラーを組み合わせることにより,新しい機能が発現する,その最先端の研究例がいくつか紹介されました。
ひとつは,ナノカーボン分散系樹脂のパーコレーション挙動です。粒子サイズがナノメートルオーダーのカーボンブラック,気相成長炭素繊維,カーボンナノチューブ(CNT)などのナノカーボンを高分子に混合した場合,どのような特性が生まれるか,その特性をどのように制御できるかが紹介されました。
もうひとつのトピックスは,有機ハイブリッド材料の制振・音響特性の制御についてです。この材料を使った製品が音質調整材「フォック」の名称で木曾興業から市販されています。
 この材料は,振動エネルギーを電気エネルギーに変換し,最終的に熱エネルギーに変換することで効率よく吸収します。ゴムや重金属のような固有音がなく,これまで取り除くことが困難だった微少な振動まで効率よく減衰させることにより,澱みのない,澄んだ音色を楽しむことができるようになります。詳しくは フォックのホームページをご覧ください。
http://www/foq.jp.


<おしらせ>
設立記念講演会の 講演録 作成中

近日完成の予定(有料)
出来上がりましたら,ご案内いたします。



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