第2回討論会 レポート


 


NPO法人 スーパーコンポジット研究会 

第2回討論会 2010年 3月19日開催しました。
多数のご参加ありがとうございます


レポートを掲載しました 

日時:2010年3月19日(金)13:00〜16:50
場所:
東京工業大学大岡山キャンパス 南8号館6F623号室


プ ロ グ ラ ム

13:0013:10  開会挨拶  住田 雅夫 副理事長

       
[座長 住田 雅夫]      

13:1013:55  講演1 実践女子大学 教授 城島 栄一郎 氏

 「被服科学の過去・現在・未来」(仮題)

14:0014:45  講演2 長岡技術科学大学 准教授 河原 成元 氏

 「天然ゴムの構造と物性」

    
[座長 瀬野 武]

14:5515:25 製品・技術紹介 太陽化学(株)執行役員  南部 宏暢 氏

 「太陽化学メソポーラスシリカの構造と物性」

   
 [座長 由井 浩]

15:3516:35  発表 

金沢工業大学 ものづくり研究所 河野 昭彦氏  「高分子/Ni複合材料の導電特性」 

東京農工大学 高津衣世氏 ナノ相構造を有する熱可塑性エラストマーの変形挙動と分離評価」


16:4517:00  研究会の今後の計画・閉会挨拶  由井 浩 理事長


1700〜 交流会

討論会レポート
今回も上記プログラムに見られるように講演2件,製品・技術紹介1件,発表2件があり,興味深い多彩なテーマを聞くことができました。それぞれ異なった領域の話でしたが,終了後の交流会でも話題は尽きることなく,楽しい時間を持つことができました。

<講演1> 「被服科学の過去・現在・未来」
実践女子大学 教授 城島栄一郎 氏
19 世紀のニトロセルロース繊維の発明を端緒として,20 世紀半ばのナイロンを始めとする各種合成繊維の発展は世界および日本の繊維産業に大きなインパクトを与えたことはよく知られている。城島先生は,日本の繊維産業の変遷をたどり,それと連動する繊維・被服の教育研究の興味と対象の移り変わりを見ることによって,被服科学の将来の方向をわかりやすく解説された。

<講演2> 「天然ゴムの構造と物性」
長岡技術科学大学 准教授 河原 成元 氏
天然ゴム(NR)は,ゴムの樹(Hevea brasiliensis)から得られる高分子量炭化水素である。この炭化水素はイソペンテニル二リン酸が脱リン酸縮合することにより生合成される重付加体であり、その繰返し単位は主にcis-1,4 イソプレン単位である。炭化水素以外には非ゴム成分としてタンパク質、脂質、炭水化物および灰分等がNR には含まれている。生ゴムはラテックスを凝固・乾燥して得られる。伸長すると容易に結晶化し,高い引張強度を示し,機械的強度,耐摩耗性は合成ゴムに比べて優れたゴム弾性を持つことはよく知られているが,これらの優れた物性は何に起因しているかは,まだ詳細には明らかにされていない興味深いテーマである。河原先生らはこのテーマに取り組んでおり、現在までのその研究の成果を紹介された。
NR がゴム素材としてバランスよく優れた物性を示すのは,タンパク質や脂質などの非ゴム成分の影響であり,非ゴム成分が形成する階層構造をさらに解析することによ
り,将来「NR がなぜ優れているか」という問題を解決し,NR の物性を自由にコントロールすることが可能になることを期待していると語られた。


●製品・技術紹介
「太陽化学メソポーラスシリカ(TMPS)の構造と物性−ナノ空間材料としての可能性−」
太陽化学 インターフェイス・ソリューション事業部 南部 宏暢 氏
最近,均一な細孔を有するメソポーラスシリカ物質は,シリカ系から遷移金属酸化物,炭素,金属系へと研究開発は進み,触媒や吸着関連分野はもとより,その細孔の中に機能ゲスト種をドープした形など,その高度な構造制御技術により新しいデバイス開発まで多様な展開が進んでいる。太陽化学のメソポーラスシシリカTMPS は,均一な直径1.5〜10nm の細孔が蜂の巣状に規則的に配列しているシリカ多孔体である。同社ではその合成から応用にわたる多様な研究を進めているが,本講演ではTMPS の製造技術や制御技術の特長および今後の可能性が紹介された。


●研究発表
発表1「高分子/Ni 複合材料の導電特性」
金沢工業大学 ものづくり研究所 河野 昭彦 氏
結晶性ポリマーに金属粉末,カーボンブラック,カーボンファイバーなどを充填し作製した導電性複合材料の多くは,抵抗率が温度上昇に伴って増大する“正の抵抗温度係数(Positive TemperatureCoefficient:PTC)特性を示すことが知られ,電気・電子回路の自己回復性過電流保護素子として実用化されている。しかし,この複合材料のPTC 特性発現機構は,まだ不明確な部分が多い。本発表は,実験により,結晶化度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とNi 粒子を溶融混練し作製したLLDPE/Ni 複合材料について,PTC 特性はLLDPE の融解挙動や融点が等しいにも関わらず,LLDPE の結晶化度やNi 充填率により著しく異なることを示した報告である。LLDPE の結晶化度が低い場合やNi充填率が低い場合は,LLDPE が融解しなくてもLLDPE のわずかな体積膨張によりPTC 特性が発言することを明らかにした。


発表2 「ナノ相構造を有する熱可塑性エラストマーの変形挙動と分離評価」
東京農工大学大学院 高津 衣世 氏
熱可塑性エラストマーは海相がプラスチック,島相がゴムからなるポリマーブレンド材料であり,海相がプラスチックにもかかわらずゴム弾性を発現する特異な変形挙動を示す。しかし,海相と島相の変形挙動が分離評価されていなかったため,変形挙動の詳細は明らかにされていなかった。本研究は,フッ素系プラスチック/フッ素ゴムを70/30 の組成でブレンドし,相構造のサイズが異なる2 種類のブレンドを用い,ナノメートル次元で異なったサイズの相構造を持つ熱可塑性エラストマーの変形に伴うHv光散乱と広角X線回折の変化を追跡して,それぞれの相の変形挙動の分離評価を試みた。さらに相構造のサイズの違いによる変形挙動の違いについて考察した。


●研究会の今後の計画 由井 浩 理事長
最後に,由井理事長から,研究会の今後の計画,方向性についての話がありました。
1.共同探索研究について
2.来年度からの研究会運営について

これで討論会は終了しましたが,その後,恒例の懇親会にも多数の参加があり,討論会の熱気をそのまま持ち込んでの,楽しい討論,交流が行われました。





当日の詳しいレポートを四季報 No.15 に掲載しました。
pdf版はこちらから





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